中身を見る

『ゼロから創る暗号通貨』

  • ページ数:
    304ページ
  • 電子版フォーマット:
    PDF
  • 製本版:
    B5変形・モノクロ
  • 発売日:
    2018年10月25日

ブロックチェーンを作る。
応用できる力がつく。

本書は Simple Bitcoin という本書のためにデザインされた暗号通貨をPythonを使って実装しながら、ブロックチェーンについて学ぶための入門書です。

私は「こういうものです。覚えなさい」と教えられるのが昔から大嫌いでした。 たとえば高校の数学の授業。黒板に書かれた問題に対する解説をただただノートにとり、 それを暗記する。たとえそれが連綿と続く人類の歴史の積み重ねの中で獲られた知恵の結晶だとしても、 私にとっては苦痛以外の何ものでもない「作業」でした。 その性分は今でも変わっておらず、紙に書かれた何かをただ記憶する、という作業がとても苦手です。

さて、そんな性分を抱える私が、職務上のいろいろな出会いを通じて「暗号通貨に関連する技術を学ぼう」ということになり、 有名どころの本を揃えたりTwitterで話題の記事などを漁ったりしていたところ、ある1つの問題にぶつかりました。すなわち、

  • 「ビットコインの仕組みはこのようになっています」
  • 「ブロックチェーンとはこういうものです」

といった「事実の紹介」しかしてくれない教材ばかりが目につき、「なぜそのような形に至ったのか?」 という肝心な「思考の過程」を伝えてくれるものに出会えなかった、ということです。

  • 「こんなことを実現したいなら、こういうふうに作ればよいのでは?」
  • 「ああ、なるほど。こういう問題が起こるのか……」

あえて不完全なところからスタートし、失敗や反省を繰り返しながら「創る」ことで完成品に至るまでの思考の過程をシェアする。 私が欲しかったのはそういうテキストでした。本書は、私のような性分を持った人たちに対して「あのときこういう本があれば良かった」 と筆者自らが思えるものを提供することを大きな目的としています。

このところ、ブロックチェーンという技術は、ネット上でもその他の媒体でも用語を目にしない日はないのではないかというほどポピュラーになりつつあります。 ですが、その中身をしっかりと理解し、必要に応じて自分の用途に応じてカスタマイズできる人となると、まだまだ僅か。 学生から現役のエンジニアまで、ブロックチェーンの技術を学ぼうとする方々の動機はさまざまでしょう。 本書では、暗号通貨技術の本質を掴むために、 細かな部分を削ぎ落としてデザインされたSimpleBitcoinというプラットフォームをゼロから創造していきます。

SimpleBitcoinの完成までの過程には、当然、失敗もあります。「学ぶ」という目的を外れない程度のシンプルさを保つために、 あえて不完全なまま終わる部分もあります。とはいえ、不完全であるということさえ理解できていれば、 「今回は解決を見送ったこの問題は、たとえば本家のビットコインではどう対処しているのだろう?他の暗号通貨ではどうしているんだろう?」といった、 暗号通貨技術全般に対する勘所は身につくはずです。

本書の解説、そしてSimpleBitcoinの実装には、コードの可読性の高さや近年の流行を鑑み、プログラミング言語Python(バージョン3系)を採用しました。 読み進める上でPythonに対する深い知識は前提としていないので安心してください。 ただし、Pythonの解説書ではありませんので、環境のセットアップをはじめとするプログラミング言語Pythonの詳細な解説は含めてありません。 必要であれば他の書籍などで適宜補完してください。

繰り返しになりますが、本書で創っていくSimpleBitcoinのゴールは、既存の実装の完全なコピー実装ではありません。 暗号通貨のエッセンスをつかみ取れることがSimpleBitcoinの主眼です。 本書を通じ、既存の仕組みの仕様を単純に受け入れるのではなく、 より良いものにするためにどんな工夫が考えられるかを常に意識できるようなブロックチェーン・エンジニアが一人でも多く誕生してくれれば幸いです。

濵津 誠

対象読者

  • ブロックチェーンに入門したい方
  • ブロックチェーンをキャッチアップしたい方
  • さらに発展的な内容を求める方
  • 
  • フルスクラッチできる実装力を身につけたい全てのエンジニア
009 detail 03

製本版はロゴマーク入りの箱入り
ゆうパケットでお届け
発送の際には追跡番号をお知らせします

著者

  • 濵津 誠

    P2Pネットワーク、公開鍵暗号方式、そしてブロックチェーン。暗号通貨は面白い技術の塊として純粋に今、追いかける価値がある。そういうのを伝えたくて書きました!「仮想通貨とかもう落ち目でしょ?」みたいな方にもぜひ手にとって頂きたい。

編集者

  • 鹿野 桂一郎

    暗号通貨というトピックに感じるバズっぽさ、ゼロから到達できそうなレベルに対するネガティブな期待、あるいはゼロから創るのは無理そうという尻込み、そして、兄と弟の対話形式という見た目のゆるさ、それらをすべてあっさりと裏切る見事な本です!

推薦コメント

  • 待ってましたとしか言いようのない、ブロックチェーン界に必要な本です

  • ちょうどブロックチェーンのキャッチアップをしようと思っていたタイミングで、ベストな本に出会えました。

  • ブロックチェーン技術で価値の移転の仕組みを極力シンプルに実装するという点に専念しており、実際にSimple Bitcoinが依存するモジュールがcryptoのみというあたりに著者の覚悟や気概が窺えます。晃と樹の掛け合いに目が滑りますが技術的には非常に真っ当で素晴らしい書籍です。

  • 考えて、実装して、動かしてみて、修正して少しずつ暗号通貨を作っていくので、読み終わった時には自然とブロックチェーンのコンセプトから細かな仕様だけでなく実装上の工夫までが身につく本。 こんな風に優しく導いてくれる人は存在しない!

  • うちのイーサリアムエンジニアが「とてもクリエイティブな本」と言って回し読みしています!!5冊追加で買います